理事長あいさつ

医療情報基盤・診療報酬審査支払機構 理事長 樽󠄀見 英樹
DX審査支払機構の発足に当たって
令和8年10月1日、社会保険診療報酬支払基金は「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(DX審査支払機構)」として新たなスタートを切りました。
昭和23年の支払基金発足以来、社会保険医療費の審査支払業務を通じて培うことのできた関係者の信頼の輪の上に、その後の各種財政調整事業、そして令和3年からのオンライン等資格確認システムの事業が積み重ねられてきました。このオンライン資格確認のネットワークを基礎として、救急時の情報連携や電子処方箋の仕組みの運用が始まり、我が国医療におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)がその形を現してきたのです。そして今日、私どもは、我が国の医療DXを推進する中心的な役割を担う組織となりました。
現在我々は、情報と情報技術がサービスそのものを大きく変える時代にいます。医療においても、患者お一人おひとりの身体や病状に関するデータが正確に取得され、診断に反映されることが的確な医療の提供に不可欠であることはもちろん、チーム医療や在宅医療、あるいは介護などとの連携が広まる中、関係者間での迅速的確な情報共有が、それぞれの患者に相応しいサービスの提供に不可欠のものとなっています。電子処方箋は患者の利便性を高めるだけでなく、飲み合わせの危険を防いだり重複投薬による不必要な医療費の発生を防ぐ機能も果たしています。また、予防の領域においても、健康診断などの情報をきちんと管理し、保険者や自治体による適切な保健指導に結び付けていくことが、効果を上げるために極めて重要です。
さらには、医療に関する情報を個人の特定ができないようにしたうえでビッグデータとして二次利用できるようにすることから、新たな医薬品や医療技術の開発につながることも期待されます。
各医療機関においても、医療提供に関する情報を適切に管理して活用することが、経営の安定と効率化につながります。
こうした医療の情報化、DXを進めるためには、それぞれのプレーヤーにおける情報化の取組を支援するだけでなく、情報を共有するための仕組みと環境を積極的に作っていかなくてはなりません。私どもDX審査支払機構が担うのはまさにそうした役割です。国が定める推進方針に基づき、中期計画と年度計画を定め、それに即して取組を進めていきます。
従来からの審査支払業務についても、医療技術の進歩や診療報酬改定などを踏まえて適切な支払いが確実に行えるよう、引き続き、効率的な審査事務の実施や不合理な地域差の解消、原審査の質のさらなる向上等に取り組んでいきます。特にAIの活用については、目視対象レセプトの着実な振り分けなどに実績を上げていますので、さらに取組を進めて審査の充実に結び付けていきたいと考えています。
私どもはこれまでも、保険医療における医療機関と保険者をつなぐハブとして機能してきました。医療機関どうし、医療機関と保険者、そしてお一人おひとりの患者や被保険者を、つなぎ、より良い医療に結び付けていくという機能を持っています。それをしっかり果たしていくという責任感と誇りを胸に、新機構の発足を機に、新たなロゴマークと「医療をつなぎ、未来につなぐ」というミッションを定めました。
職員一同、医療に関わる制度と情報システムに精通したプロとして研鑽を積み、我が国医療の向上の役に立っていきたいと念じております。新たに発足した運営会議の委員の皆様のご指導をいただきながら、患者にとってのより良い医療の実現に向けて、取り組みを進めてまいります。皆様方のご理解とご支援をお願い申し上げます。



